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NemoClawとは?NVIDIAがOpenClawにセキュリティを追加したAIエージェント基盤を解説【2026年3月】

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2026年3月16日、NVIDIAがサンノゼで開催中のGTC 2026キーノートで、CEOのジェンセン・ファンがNemoClawを発表しました。

NVIDIA Announces NemoClaw for the OpenClaw Community
NVIDIA Announces NemoClaw for the OpenClaw Community

ファンはこう言いました。

「かつてすべての企業がLinux戦略を持ち、HTTP/HTML戦略を持ち、Kubernetes戦略を持っていた。今やすべての企業がOpenClaw戦略を持つ必要がある」

NemoClawを理解するには、まずその土台にあるOpenClawが何者かを知る必要があります。

この記事はこんな人向けです

  • NemoClawという名前を聞いたが、何なのか分からない
  • OpenClawとNemoClawの違いを整理したい
  • 企業でAIエージェントを導入したいが、セキュリティが心配なIT担当者

OpenClawとは何か

NemoClawを理解するために、まずOpenClawの経緯を整理します。

OpenClawはもともとClawd、その後Moltbotと呼ばれていたプロジェクトで、PCでAIエージェントをローカル実行できるオープンプラットフォームです。2026年1月末にOpenClawとして公開され、ソフトウェアエージェントを様々なアプリケーションに少ない制約で接続できる仕組みとして、SNSで一気に話題になりました。

その後OpenAIがOpenClaw創設者のPeter Steinbergerをアクワイハイアし、プロジェクトは財団によって管理される形になりました。

ジェンセン・ファンはOpenClawを「パーソナルAIのオペレーティングシステム」と表現しています。これはWindowsやmacOSがPCのOSであるように、OpenClawがAIエージェントの動作基盤になるという意味合いです。

しかし、AIエージェントが企業のデータベース・メール・社内ネットワークを自由に動き回ることへの懸念から、訴訟リスクを意識する企業での導入が進んでいませんでした。

この問題を解決するのがNemoClawです。

NemoClawとは?一言でまとめると

NemoClawはOpenClawにポリシーベースのプライバシー・セキュリティのガードレールを加えるオープンソースのAIエージェントスタックです。コマンド1つでNVIDIA NemotronモデルとOpenShellランタイムをインストールでき、企業環境でAIエージェントをより安全に・常時稼働で動かせるようにします。

ひと言でまとめると、「OpenClawの利便性+エンタープライズグレードのセキュリティ」 を実現するソフトウェアスタックです。

OpenClaw(素)NemoClaw
対象個人・開発者企業・エンタープライズ
セキュリティ最小限ポリシーベースのガードレール
データアクセス制限なしサンドボックスで制限
モデル任意Nemotron(ローカル)+クラウドモデル
インストール手動設定が必要コマンド1つ
ライセンスオープンソースオープンソース

NemoClawの3つのコンポーネント

NemoClawは主に3つの要素で構成されます。

① OpenShell(オープンシェル)

OpenShellはAIエージェント向けのオープンソースのセキュリティ・プライバシーランタイムです。OpenClawエージェントをサンドボックス内で動作させ、機密データへのアクセスを制限し、意図しない動作の機会を減らします。

OpenShellはエージェントがデータにアクセスし、ツールを使い、ポリシー境界の中で動作する方法を定義します。ポリシーベースのセキュリティ・ネットワーク・プライバシーのガードレールを適用しながら、エージェントが生産的に動くために必要なアクセスを与える基盤インフラ層を提供します。

OpenShellでできる主な設定

  • タスクに不要なファイル・フォルダへのアクセス禁止
  • 外部ネットワークへの接続をポリシーで制御
  • エージェントの実行をサンドボックス内に隔離
  • YAMLでルールをカスタマイズ可能
  • 一部ルールはエージェントを再起動せずにホットスワップ

② Nemotron(ネモトロン)

NemotronはNVIDIAの既存プロジェクトで、テキスト生成・グラフ分析など複数のタスクに最適化された半ダース以上のAIモデルを含みます。

GTC 2026ではNemotron 3 Ultra(最高性能の推論モデル)・Nemotron 3 Omni(音声・映像・言語を統合したマルチモーダルモデル)・Nemotron 3 VoiceChat(リアルタイム音声会話モデル)が新たに発表されました。

これらのモデルをローカルで動かすことで、機密データをクラウドに送らずに処理できます。

③ プライバシールーター

プライバシールーターを通じて、エージェントはクラウド上で動くフロンティアモデル(GPT・Claudeなど)も活用できます。ローカルモデルとクラウドモデルを組み合わせることで、プライバシーとセキュリティのガードレールを守りながら、エージェントが新しいスキルを習得してタスクを完了するための基盤を提供します。

機密データはローカルのNemotronで処理し、機密性の低い処理はクラウドのGPT・Claudeに任せる、というハイブリッド構成が組めます。

なぜ「セキュリティ」が必要だったか

AIエージェントは便利な反面、企業環境では深刻な問題を引き起こしてきました。

AIエージェントが引き起こした主なリスク

  • データ漏洩:エージェントがアクセスすべきでないファイルや顧客データにアクセスして外部に送信する
  • プロンプトインジェクション:悪意あるコードやメールに仕込まれた指示でエージェントが意図しない動作をする
  • 際限のないネットワーク接続:エージェントが外部サービスに無制限に接続してデータを送り出す
  • 監査の困難さ:エージェントが何をしたか追跡・記録できないためコンプライアンス違反が検出できない

OpenClaw(素)はこれらへの対策が最小限であるため、メールや人事・財務データにアクセスできる環境での利用に企業が慎重にならざるを得ませんでした。

NVIDIAはこの状況に対し、エンタープライズにはガバナンス・制御・プライバシーが必要だと指摘し、OpenShellがエージェントのデータアクセス・ツール使用・ポリシー境界内での動作を定義する「安全な常時稼働AIシステムの建築的基盤」であると説明しています。

具体的に何ができるか:エンタープライズ活用シナリオ

自律的なコーディング・テスト

コードを書き・テストし・デバッグする作業を常時監視なしで自律的に実行できます。OpenShellのサンドボックスで動くため、コードが本番環境の認証情報や機密ファイルにアクセスするリスクを制限できます。

部門横断のワークフロー自動化

複数の部門・ワークフローをまたいだ繰り返し作業を自動化できます。ポリシーで各部門がアクセスできるデータ範囲を定義することで、情報分離を維持したまま自動化が実現します。

社内データに基づくカスタマーサポート

会社の独自データをもとに複雑な問い合わせを処理する常時稼働AIアシスタントとして動かせます。コンプライアンス境界を守りながら顧客対応を自動化できます。

法務・医療・金融など高コンプライアンス領域

クラウドに機密データを送らず、ローカルのNemotronモデルで処理することで、データの外部送信が制限される業界でもAIエージェントを活用できます。

動作環境:どのハードウェアで動くか

NemoClawはハードウェアを選ばず、NVIDIA GeForce RTX搭載PCとノートPC、RTX PROワークステーション、DGX Station、DGX Sparkで動作します。常時稼働エージェントを社内ローカルで動かすために、機密データをクラウドに流さずに処理できます。

環境用途
GeForce RTX PC・ノートPC個人開発者・小規模チーム
RTX PRO ワークステーション部門単位での導入(最大4,000 TOPS・96GB GPU メモリ)
DGX Spark部門チームへのスケーラブルなAIインフラ
DGX Station最も強力なデスクサイドAIシステム・本番前の検証

重要: NVIDIAのGPUを持っていなくても動作します。NemoClawはハードウェア非依存で設計されており、NVIDIAのGPUは必須ではありません。ただし、ローカルでNemotronモデルを動かすためには相応の計算リソースが必要です。

インストール方法

NemoClawはNVIDIA Agent Toolkitを使ってOpenClawをコマンド1つで最適化します。OpenShellとNemotronモデルのインストールが同時に完了します。

# NVIDIA Agent Toolkitのインストール
pip install nvidia-agent-toolkit

# NemoClawのセットアップ(OpenShell+Nemotronを一括インストール)
nvidia-agent-toolkit install nemoclaw

OpenShellのポリシー設定はYAMLファイルで行います:

# openclaw-policy.yaml の例
network:
  allow_external: false       # 外部ネットワーク接続を禁止
  allowed_domains:            # 許可するドメインのみ指定
    - "internal.company.com"
filesystem:
  allowed_paths:              # アクセス許可するパスのみ指定
    - "/workspace/project"
  deny_paths:                 # 明示的に禁止するパス
    - "/etc"
    - "/home"
sandbox:
  hot_swap: true              # エージェント再起動なしでルール変更可

現在の状態と注意点

NVIDIAはNemoClawを現時点では早期アルファリリースと位置づけており、「粗削りな部分があることを想定してほしい。本番対応のサンドボックスオーケストレーションに向けて構築中だが、出発点は自分の環境を立ち上げることだ」と公式サイトに記載しています。

現時点での注意点

  • 早期アルファのため仕様変更が多い。本番環境への全面導入は安定版リリースを待つのが無難
  • OpenShellのサンドボックスは完全ではない。機密性の高いデータへのアクセスがある環境では慎重な評価が必要
  • NVIDIAのGPUなしでもインストールは可能だが、ローカルモデル動作には相応のスペックが必要

Copilot Cowork・Claude Code autoモードとの違い

今月だけでAIエージェント関連の大型リリースが3本出ており、それぞれ設計思想が異なります。

NemoClawCopilot CoworkClaude Code auto mode
提供形態OSS(オープンソース)Microsoft 365クラウドサービスClaudeの機能フラグ
対象開発者・エンタープライズITMicrosoft 365企業ユーザーClaude Code利用開発者
実行場所ローカル(オンプレ)中心クラウド(M365テナント)ローカル/クラウド
セキュリティ設計ポリシーYAMLで細かく制御M365のコンプライアンス機能に依存リスク分類器で自動判断
費用無料(OSSソフト自体は)E7ライセンス $99/月/ユーザーClaude Code利用料に含む
カスタマイズ性高い(YAMLで自由に設定)限定的限定的

使い分けの目安

  • 開発者・エンジニアチームでオンプレ・細かいポリシー制御が必要 → NemoClaw
  • Microsoft 365を全社展開中でOffice業務の自動化 → Copilot Cowork
  • Claude Code使いでコーディングセッションの承認を減らしたい → Claude Code auto mode
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IT Picks的な所感

今回のNemoClaw発表で面白いのは、NVIDIAがAIエージェントの「インフラ層」を押さえにきたという動きです。

GPUを売るNVIDIAにとって、AIエージェントが普及すればするほど計算リソースの需要が増えます。「クロールは新しいアプリケーション層であり、コンピュートへのオーダーオブマグニチュードの需要を生み出している」というNVIDIAのVPの言葉は、ビジネス戦略として非常に率直です。

ジェンセン・ファンが「すべての企業がOpenClaw戦略を持つ必要がある」と言い切れるのは、それを支えるインフラ(GPU)を自社が握っているからこそです。かつてWindowsがPCのOSとして標準になったように、OpenClaw+NemoClawがAIエージェントの実行基盤として標準化されると、NVIDIAのエコシステムが一段と強固になります。

開発者・IT担当者の視点では、オープンソースで無料から始められる点と、YAMLでポリシーを細かく制御できる点は魅力的です。ただし早期アルファという段階を踏まえ、まず開発・検証環境でどの程度のセキュリティが実現できるか試してから本番判断することをおすすめします。

まとめ

NemoClawのポイントをまとめます。

  • 発表日:2026年3月16日(GTC 2026キーノート)
  • 提供形態:オープンソース(早期アルファ)
  • 何をするか:OpenClawにポリシーベースのセキュリティ・プライバシーガードレールを追加するスタック
  • 主なコンポーネント:OpenShell(サンドボックス・ポリシー制御)・Nemotron(ローカルAIモデル群)・プライバシールーター
  • インストール:コマンド1つ(nvidia-agent-toolkit install nemoclaw
  • 動作環境:RTX PC・RTX PRO WS・DGX Spark・DGX Station(ハードウェア非依存)
  • 費用:ソフトウェア自体は無料(ハードウェアコストは別)
  • 注意点:早期アルファのため本番導入は安定版を待つことを推奨

企業でAIエージェントの導入を検討しているIT担当者・開発者は、まず開発環境でOpenShellのポリシー設定を試してみることをおすすめします。

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