クラウド
PR

Lambda Web Functionsとは?東京でも提供開始【2026年10月】

Lambda Web Functionsとは?東京でも提供開始【2026年10月】
claude

Express や Hono で書いた Web アプリを、Lambda 用に書き換えずにそのまま動かしたい——そんな開発者に向けた発表がありました。

2026年10月12日(米国時間)、AWS は AWS Lambda の新しい形態「Lambda Web Functions」を発表しました。東京リージョンでも提供が始まっています。

AWS Lambda announces Lambda Web Functions

ポイントは、「ポートで待ち受ける普通の HTTP サーバー」をアダプターなしで Lambda に載せられることと、CPU が実際に動いた時間で課金されることです。これまで「イベントを受けて関数を呼ぶ」仕組みだった Lambda が、Web サーバーの形にも対応した——という位置づけの発表です。

この記事はこんな人向けです

  • AWS Lambda で Web アプリや API を動かしていて、新しい「Web Functions」が何なのか知りたい
  • Express や Hono で書いたサーバーを、書き換えずにサーバーレスで動かしたい
  • 東京リージョンでの料金や、従来の Lambda・VPS との使い分けを知りたい

Lambda Web Functions とは?一言でまとめると

Lambda Web Functions は、Node.js の Web サーバーをそのまま動かせる、Lambda の新しい形態です。サーバーの管理やスケーリングは、これまでの Lambda と同じく AWS が行います。

項目 内容
発表日 2026年10月12日(米国時間)
何ができる Express・Hono・Fastify・Next.js などの HTTP サーバーを書き換えずにデプロイ
同時処理 1つの実行環境で最大128リクエストを同時に処理
課金 リクエスト数+アクティブな CPU 時間+メモリ+データ転送
ランタイム Node.js 24(Arm64)のみ
提供リージョン バージニア北部・オハイオ・オレゴン・東京・アイルランド
AWS News Blog の発表記事「Announcing AWS Lambda Web Functions」
出典: AWS News Blog「Announcing AWS Lambda Web Functions」(2026年10月12日)

あわせて、これまでの Lambda 関数は「Lambda Event Functions」という名前に変わりました。AWS は「名前の変更だけで、既存の関数のコード変更や再デプロイは不要」としています。

これまでの Lambda と何が違う?

AWS News Blog によると、Lambda はこれで Event Functions・Web Functions・MicroVMs の3つの形態になりました。Web アプリに関係する前の2つを比べます。

項目 Event Functions(従来の Lambda) Web Functions(新登場)
コードの書き方 イベントを受け取るハンドラー関数 ポートで待ち受ける HTTP サーバー
同時処理 1つの実行環境で1リクエスト 1つの実行環境で最大128リクエスト
課金の基準 実行時間(メモリ量×時間) アクティブな CPU 時間+メモリ
向いている用途 キューの処理、他の AWS サービスからの呼び出し Web アプリ、API、SSR、ストリーミング
Lambda Event Functions と Web Functions の違いを比較した図
AWS News Blog・Lambda 開発者ガイド(2026年10月14日確認)をもとに IT Picks 編集部が作成

大きな違いは課金の考え方です。Web Functions では、データベースや外部 API の応答を待っている間は CPU をほとんど使わないため、CPU の料金がほぼかかりません。AI の応答を少しずつ返すストリーミングのように、「待ち時間が長い処理」ほど有利になる設計です。

一方で、メモリは実行環境が存在する間ずっと課金されます。リクエストとリクエストの間の待機時間も含まれる点に注意が必要です。

何ができる?4つの特徴

① アダプターなしで既存のサーバーが動く

ローカルで node index.js として動かしているサーバーを、そのままデプロイできます。違いは、Lambda が指定するホストとポート(環境変数 AWS_LAMBDA_HTTP_ENDPOINT)で待ち受けることだけです。

AWS は対応フレームワークとして Express・Hono・Fastify・Next.js・React Router などを挙げています。

② 1つの環境で同時に処理し、待ち時間に課金しない

1つの実行環境が最大128のリクエストを同時に処理します。同時処理数の上限は設定で 1〜128(既定は64) の範囲で変えられます。

アクセスが少し増えた程度なら、すでに動いている環境が吸収するため、新しい環境の起動(コールドスタート)を待つリクエストが減る、と AWS は説明しています。

③ 1回のデプロイで複数リージョンに配置

デプロイ時にリージョンを複数指定すると、コードが各リージョンに複製され、利用者に近いリージョンへ自動で振り分けるルーティングが設定されます(ベストエフォート)。URL は1つにまとまります。

たとえば 米国・欧州・東京の3リージョンに置けば、日本の利用者は東京リージョンで処理される——という使い方ができます。

④ カナリアデプロイと CloudFront との連携

デプロイのたびに、コードと設定の変更できないスナップショット(リビジョン)が作られます。新しいリビジョンにトラフィックの10%だけ流すといった段階的な切り替えが、追加のツールなしでできます。

独自ドメインや AWS WAF を使う場合は、Amazon CloudFront を前段に置きます。CloudFront のオリジンアクセスコントロール(OAC)を付ければ、CloudFront 経由のアクセスだけを受け付ける構成にできます。

料金:東京リージョンの単価と試算

料金は リクエスト数・アクティブな CPU 時間・メモリ・データ転送の組み合わせで、CPU とメモリは 1ミリ秒単位の課金です。

AWS の料金ページにはバージニア北部の単価しか載っていないため、東京リージョンの単価は AWS 公式の価格表(Price List API)で確認しました。

項目(Arm) 東京 バージニア北部
アクティブ vCPU(1 vCPU 秒あたり) $0.0000322421 $0.0000276944
メモリ(1GB 秒あたり) $0.0000042688 $0.0000036667
リクエスト(100万件あたり) $0.30 $0.30

※ 2026年10月14日時点(AWS Lambda 料金ページ、AWS Price List API)。データ転送料は別途。

東京の CPU・メモリの単価はバージニア北部より約16%高く、リクエスト単価は同じです。参考までに、従来の Event Functions(Arm)のリクエスト単価は 100万件あたり $0.20 なので、リクエスト1件あたりは Web Functions の方が高い設定です。

AWS が料金ページに載せている例(バージニア北部)を、東京の単価で計算し直すと次のとおりです。

想定(AWS の料金例) バージニア北部 東京(IT Picks 試算)
SSR の Web アプリ:月1,500万リクエスト、CPU 40ミリ秒、メモリ 0.49GB $25.78 約$29.27
待ち時間の長い API:月1,000万リクエスト、CPU 50ミリ秒、メモリ 0.29GB $19.61 約$22.33
LLM のストリーミング:月500万リクエスト、1件3秒のうち CPU 200ミリ秒、メモリ 0.50GB $33.94 約$39.27

※ AWS の料金例と同じく、30日間ずっと1つの実行環境が動き続ける前提。無料枠とデータ転送料を除く。

料金ページの Web Functions の項には、無料利用枠の記載はありません(Event Functions には月100万リクエスト・40万 GB 秒の無料枠があります)。アクセスが少ない趣味のアプリを無料枠の範囲で動かす、という使い方を考えているなら、従来の Event Functions と比べて検討した方がよさそうです。

いつから使える?提供リージョンと主な制限

2026年10月12日(米国時間)から利用できます。主な仕様と制限をまとめます。

項目 内容
提供リージョン バージニア北部・オハイオ・オレゴン・東京・アイルランド(大阪は含まれていない)
ランタイム Node.js 24(nodejs24.x)・Arm64 のみ
リクエストのタイムアウト 既定 30秒、3〜900秒(最大15分)で設定可能
1つの実行環境 2 vCPU・メモリ 2GB
アカウントの上限(リージョンごと) エンドポイントあたり 10,000 RPS、全体で 100,000 RPS、vCPU 2,000
ネットワーク VPC 接続に対応。独自ドメイン・WAF は CloudFront 経由

※ 2026年10月14日時点(AWS の発表・Lambda 開発者ガイド)。

注意したいのは、常に動かしておく「最小台数」の設定がないことです。アクセスがなくなると環境はゼロまで減り、次のリクエストでは新しい環境の起動を待つことがあります。

また、Node.js は1つのスレッドで処理するため、重い計算を同期的に行うと、同じ環境の他のリクエストがすべて止まります。開発者ガイドは、CPU を多く使う処理はワーカースレッドに逃がすか、同時処理数を下げるよう案内しています。

使い方:1コマンドでデプロイできる

デプロイには、lambda-web コマンドを含む AWS CLI v2 を使います。開発者ガイドの手順を要約すると、次の流れです。

  1. aws lambda-web deploy --name my-web-app --hello-world を実行する(サンプルのサーバーが生成される)
  2. 出力された HTTPS の URL に curl でアクセスして動作を確かめる
  3. コードを直したら aws lambda-web deploy --name my-web-app --code ./my-web-app で再デプロイする(URL は変わらない)

初回のデプロイでは、コードを置く S3 バケットと、ログ出力用の IAM ロールが自動で作られます。既定のエンドポイントは認証なしで誰でもアクセスできるため、署名付きのリクエストだけを受け付けたい場合は IAM 認証(--auth-type IamAuth)を選びます。

マネジメントコンソールからも、Lambda の画面の「Web Functions」→「Create Web Function」で、Hello World のテンプレートから作れます。

東京リージョンで試した開発者の反応

発表から間もないため、公開されている検証は多くありません。現時点で見つかったものを紹介します。

  • 東京リージョンで試した例:DevelopersIO(クラスメソッド)の suzuki.ryo さんは、2026年10月13日の記事で、Hello World のデプロイが約26秒、Express 5.3.0 のアプリが約24秒で公開 URL まで完了し、SSE(サーバー送信イベント)のストリーミングも1秒間隔で届いたと報告しています(出典)
  • 費用面の見方:同じ記事では、外部 API の待ち時間が長い処理では費用を抑えられる可能性がある一方、アクセスが少なくコールドスタートを気にしない用途では、従来の Lambda の方が費用対効果がよいケースもありそうと述べています。また、deploy は依存パッケージを解決しないため、node_modules を先に用意しておく必要があったとしています(出典)
  • 発表前から注目されていた:DevelopersIO は 2026年10月4日に、AWS CLI などに先行して追加されたコードから仕組みを読み解く記事を公開していました(出典)
  • ツール側の対応:AWS をローカルで再現する LocalStack は、発表と同時に Web Functions のエミュレーションに対応したと公式ブログで告知しています(出典)

IT Picks的な所感

「Lambda で Web アプリを動かすときの面倒」をまとめて減らす、実務的な発表だと思います。これまでは、Express などを Lambda で動かすには、アダプターを挟んだり、コードをハンドラーの形に合わせたりする必要がありました。それが1コマンドで HTTPS の URL まで出るのは大きな変化です。

特に恩恵が大きいのは、生成 AI の応答をストリーミングで返す API だと考えています。1件のリクエストが数秒つながったままでも、CPU を使っていない時間は課金されにくいからです。

一方で、ランタイムが Node.js だけであること、無料枠の記載がないこと、リクエスト単価が従来より高いことから、アクセスの少ない個人アプリをすべて移す理由にはなりにくいでしょう。大阪リージョンや他の言語への対応を待ちたいところです。

Hono などで書いたアプリの置き場所としては、今月 Deno Deploy の終了が発表されたばかりです。移行先を探している人にとって、選択肢が1つ増えたと言えます。

あわせて読みたい
Deno Deploy終了へ、DenoがCloudflareに合流【2026年10月】
Deno Deploy終了へ、DenoがCloudflareに合流【2026年10月】

なお、常に一定のアクセスがあるサイトや、Node.js 以外で書いたアプリなら、月額固定の VPS で動かす方が分かりやすい場面もあります。サーバーレスと VPS・レンタルサーバーの使い分けは、こちらの記事で整理しています。

あわせて読みたい
レンタルサーバーとVPSの違いは?【初心者向け】使い分けと選び方を整理する
レンタルサーバーとVPSの違いは?【初心者向け】使い分けと選び方を整理する

まとめ

AWS Lambda Web Functions のポイントをまとめます。

  • 発表日:2026年10月12日(米国時間)
  • 何が新しい:Express・Hono などの HTTP サーバーを書き換えずに Lambda で動かせる
  • 従来の Lambda:「Lambda Event Functions」に改称(名前だけで、コード変更は不要)
  • 同時処理:1つの実行環境で最大128リクエスト
  • 課金:リクエスト+アクティブな CPU 時間+メモリ+データ転送(無料枠の記載なし)
  • 東京の単価:vCPU 秒 $0.0000322421、GB 秒 $0.0000042688、100万リクエスト $0.30
  • 提供リージョン:東京を含む5リージョン(大阪は含まれていない)
  • ランタイム:Node.js 24(Arm64)のみ

Node.js で Web アプリや AI の API を作っているなら、まずは --hello-world のサンプルを東京リージョンにデプロイし、自分のアプリの CPU 時間とメモリから料金を見積もってみるのがおすすめです。

ABOUT ME
IT Picks 編集部
IT Picks 編集部
ITツール・Webサービス紹介メディア
IT Picks 編集部。VPS・クラウド・AIツール・SaaSを中心に、実際に検証した情報を届けるITメディアです。「本当に使えるか」を基準に、初心者からエンジニアまで役立つ記事を制作しています。
記事URLをコピーしました