クラウド無料枠を比較:AWS・GCP・Azure・OCI【2026年版】
「クラウドを無料で使いたい。でも、どこの無料枠が一番お得なのか。期限が切れたら勝手に課金されないか」——そんな疑問に答える記事です。
結論から言うと、期限なしで小さなサーバーを持ち続けたいなら Oracle Cloud(OCI)、短い期間に幅広いサービスを試すなら AWS・Google Cloud・Azure のクレジットが向いています。ただし、各社とも 「クレジット」「12か月などの期間限定の無料」「ずっと無料(常時無料)」が混ざっていて、条件の読み違いが起きやすいところです。
今このタイミングで整理するのには理由があります。Google Cloud は 2026年10月13日に「利用額上限予算(spend cap)」を一般提供し、使いすぎたら自動で止める手段が増えました。また Oracle Cloud の Always Free の Arm サーバーは、2026年10月16日時点の公式ドキュメントで「2 OCPU・12GB」と案内されており、ネット上の古い解説と数値が違うことがあります。主要4社の無料枠を、公式ページの最新の記載で比べます。
この記事はこんな人向けです
- 個人開発や学習のために、お金をかけずにクラウドを試したい
- AWS・Google Cloud・Azure・Oracle Cloud の無料枠の違いが分からない
- 無料期間が終わったあとに、勝手に課金されないか不安
クラウドの無料枠とは?一言でまとめると
クラウドの無料枠は、「新規登録者向けのお試し」と「誰でも毎月使える無料分」の組み合わせです。大きく3つの型に分かれます。
| 型 | 中身 | 例 |
|---|---|---|
| ① クレジット | 登録時に一定額の利用料が無料になる。期限つき | AWS 最大200ドル、Google Cloud 300ドル、Azure 200ドル、OCI 300ドル |
| ② 期間限定の無料サービス | 登録から12か月など、決まったサービスが毎月一定量まで無料 | Azure の12か月無料サービス |
| ③ 常時無料(Always Free) | 期限なしで、毎月一定量まで無料 | OCI の Always Free、Google Cloud の Free Tier、AWS・Azure の常時無料サービス |
ポイントは、①のクレジットは「試す」ため、③の常時無料は「小さく使い続ける」ためのものだということです。「ずっと無料でサーバーを動かしたい」なら③の中身、とくに無料の VM(仮想サーバー)があるかを見る必要があります。
主要4社の無料枠を比較
2026年10月16日時点の各社の公式ページをもとに、無料枠を並べます。
| 項目 | AWS | Google Cloud | Azure | Oracle Cloud(OCI) |
|---|---|---|---|---|
| 新規クレジット | 最大200ドル(登録時100ドル+最大100ドル) | 300ドル | 200ドル | 300ドル |
| クレジットの期限 | 6か月 | 90日 | 30日 | 30日 |
| 期間限定の無料サービス | — | — | 12か月(20以上のサービス) | — |
| 常時無料 | 30以上のサービス | Free Tier(Compute Engine など) | 65以上のサービス | Always Free |
| 期限なしで使える無料 VM | なし(公式ページで確認できる範囲) | e2-micro 1台分(米国3リージョンのみ) | なし(VM は12か月無料) | Arm 2 OCPU・12GB+AMD 小型 VM 2台 |
| 無料期間の終了後 | 無料プランは自動でクローズ | トライアルの請求先アカウントは閉じられる | 従量課金に移行しないと無効 | Always Free はそのまま使える |
※ 2026年10月16日時点(各社の無料枠の公式ページ)。クレジットはいずれも米ドル建て。

表から分かることは2つです。
- クレジットの額は200〜300ドルで大差はなく、違いは「期限」。AWS の6か月がもっとも長く、Azure と OCI は30日です
- 期限なしで無料の VM を持てるのは、Google Cloud(米国リージョンのみ)と OCI。日本のリージョンで無料の VM を期限なく持ち続けられるのは、公式ページで確認できる範囲では OCI だけです
目的別:どのクラウドから始める?
目的ごとの向き・不向きを整理します。
- AWS の資格勉強や、いろいろなサービスに触れたい:AWS の無料プランが向いています。クレジットの期限が6か月と長く、無料プランのあいだは課金されません
- 小さな Linux サーバーを、東京か大阪でずっと無料で動かしたい:OCI の Always Free が候補です。Arm の VM を 2 OCPU・12GB まで使えます
- Cloud Run や BigQuery などのサーバーレス・データ分析を試したい:Google Cloud の300ドルと Free Tier が向いています
- Microsoft 365 や Windows の環境と組み合わせたい:Azure の200ドルと12か月無料のサービスで試せます
なお、無料枠はあくまで「試す・小さく使う」ための仕組みです。ブログや業務のサイトを本番で動かすなら、料金が月額で決まっている VPS(仮想専用サーバー)も比べておくと安心です。VPS の選び方は、こちらで整理しています。

AWS:最大200ドルのクレジット、無料プランは6か月で終わる
AWS の無料枠は、クレジット中心の仕組みです。新規登録するとすぐに100ドルのクレジットが付き、主要サービスを試すアクティビティをこなすと最大100ドルが追加されます。合計で最大200ドル・6か月です。

登録時に選ぶ「プラン」が重要です。
| プラン | 中身 |
|---|---|
| 無料プラン | 料金が発生しない。6か月たつか、クレジットを使い切った時点でアカウントが自動でクローズ。一部のサービス(Savings Plans、リザーブドインスタンスなど)は使えない |
| 有料プラン | すべてのサービスを使える。クレジットを超えた分は従量課金で請求される |
無料プランが終わると、アカウントは閉じられ、データは90日間保持されます。そのあいだに有料プランへアップグレードすれば、使い続けられます。
このほか、30以上のサービスが毎月の上限内で常に無料です(無料・有料プランとも)。たとえば AWS Lambda(サーバーを用意せずにプログラムを動かすサービス)は、月100万リクエスト・40万GB秒まで無料です。
Lambda を Web サイトの公開に使う新機能は、こちらで解説しています。

Google Cloud:300ドル・90日と、ずっと無料のFree Tier
Google Cloud の新規登録者には、300ドルのクレジットが90日間付きます。無料トライアルのあいだは請求されません。300ドルは多くのサービスに使えますが、AI Studio の Gemini API の費用には使えないと案内されています。
これとは別に、Free Tier(常時無料)があります。主なものは次のとおりです。
| サービス | 毎月の無料分 |
|---|---|
| Compute Engine(VM) | e2-micro 1台分、標準永続ディスク30GB、北米からの下り1GB。us-west1・us-central1・us-east1 のみ |
| Cloud Run | 200万リクエスト、36万GB秒、18万vCPU秒 |
| Cloud Run functions | 200万回の呼び出し |
| BigQuery | クエリ1TiB、ストレージ10GiB |
| Cloud Storage | 5GB月(米国3リージョンのみ) |
※ 2026年10月16日時点(Google Cloud「無料トライアルと Free Tier」)。上限は請求先アカウント単位で、超えた分は通常料金です。
注意したいのは、無料の VM が使えるのは米国の3リージョンだけという点です。東京(asia-northeast1)や大阪のリージョンで VM を作ると、Free Tier の対象外になります。
また、90日たつか300ドルを使い切ると、無料トライアルの請求先アカウントは閉じられ、リソースは停止します。30日の猶予期間内に有料の請求先アカウントへアップグレードしないと、リソースは削除されます。Free Tier を使い続けるには、このアップグレードが前提になる——と考えておくのが安全です。
Azure:200ドル・30日と、12か月無料のサービス
Azure の無料アカウントには、USD200 のクレジットが最大30日間付きます。加えて、新規ユーザーは20以上の人気サービスを12か月間無料で、65以上のサービスはずっと無料で使えます。
主な無料サービスは次のとおりです。
| サービス | 無料分 | 期間 |
|---|---|---|
| Linux / Windows の VM | B2pts v2(Arm)・B2ats v2(AMD)のバースト可能 VM を各750時間 | 12か月 |
| Blob Storage | 5GB | 12か月 |
| Azure Functions | 100万回の要求 | 常時 |
| Azure Container Apps | 18万vCPU秒、36万GiB秒、200万要求 | 常時 |
| Static Web Apps | 100GB の帯域幅 | 常時 |
※ 2026年10月16日時点(Azure「無料のサービス」)。
注意点は、30日以内(またはクレジットを使い切った時点)に従量課金制へ移行しないと、アカウントとサービスが無効になることです。移行すれば、12か月無料のサービスと常時無料のサービスを使い続けられます。無料アカウントのままなら、カードに課金されることはないと案内されています。
Oracle Cloud:期限のないAlways Free、Armは2 OCPU・12GB
Oracle Cloud(OCI)にも300ドル・30日間のクレジットがありますが、注目は Always Free です。無料・有料のアカウントを問わず、ホームリージョン(登録時に選ぶ本拠地のリージョン)で期限なく無料で使えます。
| リソース | Always Free の上限 |
|---|---|
| Arm の VM(Ampere A1) | 月1,500 OCPU時間・9,000GB時間=2 OCPU・メモリ12GB(1台にまとめても、2台に分けてもよい) |
| AMD の小型 VM | 最大2台(1台あたり 1/8 OCPU・メモリ1GB) |
| ブロックボリューム | 合計200GB |
| オブジェクトストレージ | 20GB |
| 送信データ | 月10TB |
※ 2026年10月16日時点(Oracle Cloud「Always Free Resources」)。
OCI には東京(ap-tokyo-1)と大阪(ap-osaka-1)のリージョンがあり、ホームリージョンに選べば国内で無料の VM を動かせます。ただし、Always Free の VM はホームリージョンでしか作れないため、登録時の選択は慎重に行う必要があります。
ほかにも、公式ドキュメントに次の注意点があります。
- 「out of host capacity」エラー:ホームリージョンで Always Free の空きが一時的に足りないと、VM を作れないことがあります。別の可用性ドメインで試すか、時間をおいて再試行するよう案内されています
- アイドル状態の VM は回収されることがある:7日間、CPU・ネットワーク(A1 はメモリも)の使用率が低い状態が続くと、Oracle が回収する場合があります
- トライアル終了時に Arm の VM が上限を超えていると無効化:合計が2 OCPU・12GB を超えていると、有料アカウントにしない限り無効化され、30日後に削除されます
無料期間が終わったらどうなる?
「期限が切れたら勝手に課金されるのでは」という不安について、各社の公式の案内を比べます。
| 期限が来たとき | 自動で課金されるか | 使い続けるには | |
|---|---|---|---|
| AWS(無料プラン) | 6か月後かクレジット消化でアカウントがクローズ、データは90日保持 | されない | 有料プランへアップグレード |
| Google Cloud | 90日後か300ドル消化で請求先アカウントが閉じられ、リソース停止、30日の猶予後に削除 | されない | 有料の請求先アカウントへアップグレード |
| Azure | 30日後かクレジット消化で、移行しなければ無効 | されない | 従量課金制へ移行 |
| Oracle Cloud | クレジットのリソースは回収、Always Free はそのまま | されない | Always Free の範囲ならそのまま |
※ 2026年10月16日時点(各社の公式ページ)。

まとめると、4社とも「何もしなければ勝手に課金はされない」仕組みです。その代わり、AWS・Google Cloud・Azure は、何もしないとアカウントやリソースが止まる・消えるので、残したいデータは期限前にバックアップしておきましょう。
逆に、有料プラン・有料アカウントに切り替えたあとは、無料分を超えた分が請求されます。課金が始まるのは「切り替えた後」です。
無料枠を超えて請求されないための対策
有料に切り替えたあとに想定外の請求を防ぐには、各社の費用管理の機能を使います。
- AWS:学習目的なら、そもそも無料プランのまま使うのが確実です。無料プランは料金が発生しない仕組みです
- Google Cloud:2026年10月13日に「利用額上限予算」が一般提供されました。推定費用が予算額を超えると、Gemini API・Gemini Enterprise Agent Platform(旧 Vertex AI)・Cloud Run・Cloud Run functions の新しいリクエストを自動で一時停止します。ただし即時ではなく、超えた分は通常どおり請求されます
- Azure:無料アカウントのあいだは課金されません。クレジットの残りは、Azure portal の Microsoft Cost Management で確認できます
- Oracle Cloud:トライアル終了後は、Always Free の対象外のリソースを使うには有料アカウントへのアップグレードが必要です。アップグレード後も、Always Free の範囲は無料のままで、上限を超えた分だけが請求されます
Google Cloud の利用額上限の仕組みと設定方法は、こちらの記事で詳しく解説しています。

よくある質問
Q. 登録にクレジットカードは必要?
A. Google Cloud・Azure・Oracle Cloud は、公式ページで登録時にクレジットカードなどの支払い情報が必要と案内しています。Azure は本人確認のため、1ドルの一時的な承認がかかることがあるとしています(承認は取り消されます)。
Q. 無料枠でWebサイトをずっと公開できる?
A. 技術的には、OCI の Always Free や Google Cloud の e2-micro で小さなサイトを動かすことはできます。ただし、OCI はアイドル状態の VM が回収されることがあり、Google Cloud の無料 VM は米国リージョンのみです。安定して公開したいなら、月額料金が決まっているVPS やレンタルサーバーも選択肢になります。両者の違いは、こちらで解説しています。

Q. 東京リージョンで無料で使える?
A. 期限なしの無料 VM を東京・大阪で使えるのは、公式ページで確認できる範囲では OCI の Always Free(ホームリージョンを東京か大阪にした場合)です。Google Cloud の無料 VM は米国の3リージョンに限られ、Cloud Storage の無料分も米国リージョンだけが対象です。クレジットで東京リージョンのサービスを試す場合は、各社の対象サービスの条件を登録前に確認してください。
まとめ
主要4社のクラウド無料枠のポイントをまとめます。
- AWS:最大200ドル・6か月。無料プランは課金なしで、期限後は自動でクローズ
- Google Cloud:300ドル・90日。Free Tier の無料 VM は米国3リージョンのみ
- Azure:200ドル・30日。VM などは12か月無料、65以上のサービスは常時無料
- Oracle Cloud:300ドル・30日。Always Free で Arm 2 OCPU・12GB を期限なし、東京・大阪も選べる
- 期限後の課金:4社とも、有料に切り替えない限り自動では課金されない
- 旬の動き:Google Cloud が2026年10月13日に利用額上限を一般提供
まずは「何を試したいか」を決め、幅広く試すなら AWS、国内で小さなサーバーを持ち続けるなら OCI から登録してみてください。
