Cloudflare OSにマネージド版、GitHub連携も【2026年10月】
2026年10月1日(米国時間)、Cloudflare は AI エージェントの作業環境「Cloudflare OS」をフルマネージド(運用をCloudflare に任せる形)で提供する計画を発表し、ウェイトリストの受け付けを始めました。あわせて、GitHub リポジトリの接続や Gmail との連携強化などの新機能も公開しています。

Cloudflare OS は8月にオープンソースで公開されたもので、これまでは自分の Cloudflare アカウントに自分でデプロイして運用するしかありませんでした。今回の発表は、「社内の AI 環境を作る」ための仕組みを、設定3つで始められるサービスにするという位置づけです。
マネージド版 Cloudflare OS のウェイトリスト(公式)
登録すると Cloudflare から案内が届く形です。提供開始日・料金は2026年11月3日時点で公表されていません。オープンソース版は今すぐ自分の Cloudflare アカウントにデプロイできます。
この記事はこんな人向けです
- Cloudflare や AI エージェントの新しい動きを追っている開発者・エンジニア
- 社内で AI を安全に使える仕組みを探している情シス・開発チームの担当者
- 「Cloudflare OS」が何なのか、マネージド版で何が変わり、今どう試せるのかを知りたい
Cloudflare OSとは?一言でまとめると
一言でいうと、会社の知識やルールを覚えた AI エージェントを、社員全員がブラウザから安全に使えるようにする作業環境です。名前に「OS」とありますが、パソコンにインストールする OS ではありません。
公式ブログによると、Cloudflare は2026年5月に社内の全員に初代を提供し、技術職以外を含む数千人が毎日、資料やスライドの作成、作業の自動化、データを見る小さなアプリ作りに使っているといいます。
| 項目 | 内容(公式ブログ・プレスリリースより) |
|---|---|
| 公開 | 2026年8月5日(オープンソース。GitHub の cloudflare/cloudflare-os) |
| マネージド版 | 2026年10月1日にウェイトリスト開始(提供日は未公表) |
| 使い方 | ブラウザで AI と会話する。開発者でなくても使える |
| できること | 調べもの、ドキュメント・スライド・表の作成、チーム用のアプリ、決まった手順のワークフロー |
| 安全の仕組み | Cloudflare Access と、サービスごとの関所「Gatekeeper」 |
| AI モデル | AI Gateway 経由で、どのモデルでも使える |
中身は大きく3つに分かれます。①会社が用意した知識と手順を前提に動くエージェントのワークスペース、②社内データに安全にアクセスするための仕組み、③誰でも作って共有・改造できるアプリの基盤です。

何が発表された?マネージド版のウェイトリスト
今回の中心は、マネージド版の Cloudflare OS です。公式ブログでは、Cloudflare のダッシュボードから数クリックで自社のワークスペースを立ち上げられるようにするとしています。
利用者が決めるのは、次の3つだけです。
- 使うカスタムドメイン(例: os.example.com)
- 適用する Cloudflare Access のポリシー(誰がログインできるか)
- 接続する AI Gateway(どの AI モデルをどう使うか)
残りの構築・運用・更新は Cloudflare が担います。これまでのオープンソース版は「完全に自由に変えられる代わりに、誰かが設定・運用・更新をし続ける必要がある」ものでした。マネージド版はその手間を減らす選択肢です。

マネージド版でも、誰がアクセスできるか、どの社内の知識やスキルを使えるか、どのシステムにつなぐかは会社側で決められます。提供開始日と料金は、2026年11月3日時点で公表されていません。
新機能:GitHub・Gmailとの連携と書き出し
マネージド版と同時に、8月の公開から1か月で加わった機能も紹介されています。
① GitHubリポジトリを接続してコードを触れる
公開当初の Cloudflare OS は、文書・スライド・業務ツールなどソフトウェア開発以外の仕事を先に重視していました。エージェントはアプリのコードを書けても、既存の Git リポジトリのコードは扱えなかったのです。
今回から、既存の GitHub リポジトリを接続できるようになりました。エージェントに次のような作業を頼めます。
- コードベースを調べる
- バグを直す・機能を足す
- ファイルを検索・編集し、変更を見直す
- コミットを作って GitHub にプッシュし、プルリクエストを開く
② Gmail・Googleドライブとの連携を強化
Google Workspace とつなぐ Gatekeeper が大きく改善されました。Cloudflare OS から、Gmail のスレッドを読んで調べる、下書きを作る、メールを送ることができます。
Google ドライブは、ドライブ全体・特定のフォルダ・個別のドキュメントやシートの単位で接続できます。「メールのやりとりで決まったことを、ドライブの資料とあわせてまとめる」といった使い方を想定した改善です。
③ いつもの形式で書き出せる
作ったドキュメント・プレゼン・表は、Excel(.xlsx)・CSV・PDF・Markdown・HTML に書き出せるようになりました。Word(.docx)と PowerPoint(.pptx)は近日対応としています。
自分で作ったツールにも、独自の書き出し形式を足せます。公式ブログでは「予定表をカレンダーファイル(.ics)でダウンロードできるようにして」と頼む例を挙げています。
安全の仕組み:Gatekeeperとアクセス権
GitHub や Gmail につなげると聞くと、「AI に何でもされないか」が気になるところです。Cloudflare OS は、ここを仕組みで縛る設計になっています。
8月の公式ブログによると、入り口は Cloudflare Access が管理し、中のエージェントとアプリは何にもアクセスできない状態から始まります。必要な資源だけを、人が許可して渡す形です。
外部サービスとの間には、Gatekeeper(サービスごとの関所の役割をする Worker)が入ります。GitHub の場合、次のような制限ができると説明されています。
| Gatekeeper でできること(GitHub の例) | 内容 |
|---|---|
| 範囲を絞る | 1つのリポジトリだけにアクセスさせる |
| 読める物を分ける | Issue は読めるが、ソースコードは読めない |
| 項目を伏せる | 特定の項目をマスクする |
| 回数を制限する | レート制限をかける |
| 人の承認を挟む | プルリクエストのマージ前に承認を求める |
API キーなどの資格情報は Gatekeeper が持ち、エージェントには渡りません。さらに、エージェントがどの資源を読んだかを記録し、作った資料やアプリを共有するときは、共有先の人が元のデータを見る権限を持っているかを確かめます。
AI の呼び出しはすべて AI Gateway を通るため、人・チームごとの使用額の確認や予算・回数の上限も設定できます。
料金・提供状況
マネージド版は、まだウェイトリストの段階です。
| 項目 | 2026年11月3日時点の公式情報 |
|---|---|
| オープンソース版 | 提供中(GitHub。README では「Early access」と明記) |
| マネージド版 | ウェイトリスト受付中。登録すると Cloudflare から連絡が来る |
| マネージド版の提供日 | 記載なし |
| マネージド版の料金 | 記載なし |
| 自前でデプロイする場合 | Dynamic Workers を使うため Workers Paid プラン(最低 月5ドル) が必要。利用量に応じた従量課金あり |
| 日本での提供 | 制限の記載なし |
| 導入の支援 | パートナー(Presidio、Happy Cog)経由の導入も可能 |
自前でデプロイする場合の必要な機能は、公式の starter リポジトリに書かれています。Workers・KV・R2・Browser Rendering・Dynamic Worker Loadersに加え、既定の AI モデルを使うには Workers AI と AI Gateway が必要です。Dynamic Workers は、公式ドキュメントで「現在 Workers Paid プランでのみ利用可能」とされています。
AI モデルの利用料は、使うモデルと量によって別にかかります。マネージド版の料金が出たら、自前で運用する手間と比べて判断することになりそうです。
Cloudflare の AI 関連の発表では、10月に文書から値を取り出す AI モデル「Clairic」も出ています。

今すぐ試すには
マネージド版を待たずに、オープンソース版を試す方法が公式に用意されています。
① 手元のパソコンで動かす
公式の README では、pnpm を入れて pnpm run-local を実行し、http://localhost:8787 を開くと全体を手元で動かせるとしています。本番用ではなく、何ができるかを見るための方法です。
② 自分のCloudflareアカウントにデプロイする
- ボタンからデプロイ: README の「Deploy to Cloudflare」(os.cloudflare.app/deploy)から、手元でビルドせずにデプロイできます。この方法では workers.dev のアドレスで動きます
- starter リポジトリを使う: Node.js 24.19 以上と pnpm 11.17 を入れ、
npx cf-os init my-osを実行します。自社のドメイン・サインイン・独自の Gatekeeper などを設定したい場合はこちらです
GitHub や Google との連携は、自分の OAuth の資格情報を用意して接続する必要があります。
③ マネージド版のウェイトリストに登録する
運用を任せたい場合は、公式のウェイトリストのページから登録します。
README には「Early access」のリリースで、まだ荒削りな部分が多いとはっきり書かれています。社内の本番環境で使う前に、小さく試して挙動を確かめるのが安全です。
開発者の反応
8月の公開時の公式ブログを紹介した Hacker News のスレッドは、2026年11月3日時点で668ポイント・330件のコメントを集めています(出典)。
- ユーザー arush15june 氏は、自分の Cloudflare Workers にデプロイすると1分で動き、Cloudflare Access のシングルサインオンも通ったと書いています。一方で、プロバイダーの設定は簡単にはできなかったとしています(出典)
- ユーザー wxw 氏は、Codex や Claude のアプリの競合にあたるとみつつ、アクセス制御の方向性を評価しています(出典)
- ユーザー yomismoaqui 氏は、Cloudflare の新しいものは魅力的に見えるが、ロックイン(特定の会社から抜けにくくなること)が心配だと書いています(出典)
- ユーザー zsoltkacsandi 氏も、Cloudflare は自社の基盤と結びついた「オープンソース」を出す流れにあると指摘しています(出典)
- 名前については、ユーザー thehamkercat 氏(出典)や fnoef 氏(出典)が、OS ではないのに「OS」と付けることへの違和感を書いています
すぐ動かせる手軽さを評価する声がある一方、Cloudflare への依存を気にする声も目立ちます。
IT Picks的な所感
今回の発表は、Cloudflare OS を「オープンソースの部品」から「申し込めば使えるサービス」へ進める一歩だと思います。ドメイン・Access・AI Gateway の3つを決めるだけ、という形が実現すれば、社内に AI の作業環境を作るハードルはかなり下がります。
特に注目しているのは、GitHub や Gmail につなぐ部分を Gatekeeper で細かく縛れる点です。「1つのリポジトリだけ」「マージ前は人が承認」といった制限を最初から用意しているのは、AI エージェントを業務に入れるときの不安にきちんと向き合った設計だと評価しています。
一方で、マネージド版の料金と提供日はまだ分かりません。README も「Early access」としており、ロックインを気にする声もあります。まずはオープンソース版を手元で動かして中身を確かめ、料金の発表を待つのが現実的でしょう。
Cloudflare は10月、非公開のサーバーを WAF で守る機能の一般提供など、AI エージェント時代を意識した発表を続けています。

Deno の開発チームが Cloudflare に合流したことも、開発者向けの基盤を厚くする動きの1つです。

まとめ
Cloudflare OS のマネージド版と新機能のポイントをまとめます。
- 発表:2026年10月1日(米国時間、Cloudflare 公式ブログ)
- Cloudflare OS とは:会社の知識を前提に動く AI エージェントの作業環境(2026年8月にオープンソース化)
- マネージド版:ドメイン・Access のポリシー・AI Gateway を決めるだけで、運用は Cloudflare が担う
- 提供状況:ウェイトリスト受付中。提供日・料金は未公表
- GitHub:既存のリポジトリを接続し、修正・コミット・プッシュ・プルリクエストまで
- Gmail・Google ドライブ:メールを読む・下書き・送信、ドライブはフォルダや個別ファイル単位で接続
- 書き出し:Excel・CSV・PDF・Markdown・HTML(Word・PowerPoint は近日)
- 安全の仕組み:エージェントは権限ゼロから。Gatekeeper でリポジトリの限定やマージ前の承認ができる
- 自前でデプロイ:Workers Paid プラン(最低 月5ドル)+従量課金。README は「Early access」
社内の AI 活用を考えている人は、まずオープンソース版を手元で動かしてみて、運用を任せたい場合はウェイトリストに登録しておくとよいでしょう。
