Discord、Rust製の新アプリを開発中 何が変わる?【2026年11月】
「いつもの Discord」と「Rust で作り直した新しい Discord」——その2つを並べた動画を、Discord が日本時間2026年11月6日に公式 X で公開しました。
公式アカウントの説明は「右側は私たちが開発中の、Rust で作り直した新しいバージョン」という一文です。Electron をやめる・モバイルともコードを共有する、といった詳しい話は、Discord の共同創業者で CTO の Stanislav Vishnevskiy さん(@svishnevskiy)の投稿で語られています。

X のトレンドでは「デスクトップ・モバイル版を全面再構築へ」という見出しで広がりましたが、公式ブログでの正式な発表はまだありません。毎日使うアプリの土台が入れ替わる可能性がある話で、Discord のアプリが「軽く・速く」なる方向への大きな一歩という位置づけです。
この記事はこんな人向けです
- Discord を毎日使っていて、アプリが軽く・速くなるのか知りたい
- X で見た「Rust で全面再構築」の話が、公式にはどこまで決まっているのか確かめたい
- いつから新しいアプリを使えるのか、今のアプリで何かする必要があるのか知りたい
DiscordのRust版アプリとは?一言でまとめると
今の Discord アプリの中身を、プログラミング言語の Rust(ラスト)で作り直した、開発中の新しいバージョンです。見た目の機能を足す話ではなく、アプリの「土台」を入れ替える話です。
| 項目 | 2026年11月6日時点で分かっていること |
|---|---|
| 何を | Rust で作り直した新しいバージョンのアプリ(開発中) |
| 公式の発表 | 公式 X @discord の投稿(比較動画と一文だけ) |
| 詳しい説明 | CTO の Stanislav Vishnevskiy さんの X の投稿 |
| デスクトップ | Electron をやめる(CTO の投稿) |
| モバイル | React Native をやめる。画面はネイティブのまま、コードを Rust で共有(CTO の投稿) |
| 使う仕組み | GPUI(Tauri ではない。CTO の投稿) |
| 数字 | RAM・起動時間の数値の発表は無し |
| 提供時期 | 未定。「近いうちに利用者とのテストに」(CTO の投稿) |
ポイントは、公式アカウントが認めたのは「Rust で作り直した新しいバージョンを開発している」ことまでという点です。範囲や予定はすべて CTO 個人の投稿の内容で、公式ブログやヘルプには載っていません。
公式の発表と、CTOの投稿:どこまでが公式?
この話題は、情報の出どころが2つに分かれています。混ざると誤解しやすいので、先に整理します。

① 公式 X @discord の投稿
Discord の公式アカウントは、日本時間11月6日 2時52分に、「左側はあなたが毎日使っている Discord、右側は私たちが開発中の、Rust で作り直した新しいバージョン」と投稿しました(出典)。
この投稿は、CTO の比較動画の投稿を引用する形です。公式が書いたのはこの一文だけで、範囲・時期・数字には触れていません。
② CTO の Stanislav Vishnevskiy さんの投稿
Discord の共同創業者で CTO の Stanislav Vishnevskiy さん(@svishnevskiy)は、その前日から詳しい説明を投稿しています。プロフィールには「@discord CTO & Co-Founder」とあります。
Vishnevskiy さんの投稿によると、Discord は2018年から Rust を早くから取り入れてきた会社で、インフラや音声の技術、今のアプリの一部もすでに Rust だといいます(出典)。そのうえで、アプリ全体を Rust にすることが「聖杯」(最終目標)だったと書いています。
会社の役員の発言なので重みはありますが、公式ブログやヘルプでの発表ではありません。予定が変わる可能性も含めて読むのが安全です。
何が変わる?デスクトップとモバイルの違い
Vishnevskiy さんの投稿で語られている変更を、デスクトップとモバイルに分けて整理します。

① デスクトップ:Electron をやめる
Vishnevskiy さんは「Electron はなくなる」と書いています(出典)。
Electron(エレクトロン)は、ブラウザの部品の Chromium と Node.js をアプリに組み込み、Web の技術(JavaScript・HTML・CSS)でデスクトップアプリを作る仕組みです(Electron 公式)。作りやすい反面、アプリごとにブラウザを丸ごと抱える形になります。
② モバイル:React Native をやめ、コードを共有
モバイルについては「React Native もなくなる」としつつ、画面はネイティブの UI のまま、アプリのコードを Rust でデスクトップと共有すると説明しています(出典)。
React Native は、React(JavaScript)で Android・iOS のアプリを作る仕組みです(React Native 公式)。つまりモバイルは、見た目の部品はスマホのものを使い、中身の処理を Rust にまとめるという形です。
③ 使う仕組みは「GPUI」
アプリの画面を作る部品については、「Tauri ではなく GPUI」と明かしています(出典)。
GPUI は、コードエディタ「Zed」の開発元が作った、GPU で画面を描く Rust 向けの UI フレームワークです(GPUI 公式)。投稿には「(予想した)みんな、いい線だった」という一言も添えられています。
なお、ブラウザ版の Discord がどうなるかは、どの投稿でも触れられていません。
目的:メモリの少なさと起動の速さ(数字は未発表)
比較動画を投稿した Vishnevskiy さんは、「新しいクライアントで RAM が少ないのは話の一部にすぎない。クリックしたときの反応が即座で、もう戻れない。起動時間を見てほしい」と書いています(出典)。
動画は約14秒で、左に今のアプリ、右に新しいアプリを並べたものです。同じスレッドでは、動画は古いノートパソコンを探してきて撮影したとも書いています(出典)。
ただし、メモリが何 MB 減るのか、起動が何秒速くなるのかといった数字は、公式にも CTO の投稿にもありません。動画は1台のパソコンでの比較で、どの環境でも同じ差が出るとは言えない点に注意が必要です。
いつから使える?今のアプリで何かする必要は?
提供時期は決まっていません。 Vishnevskiy さんは「近いうち(soon™)に利用者とのテストに入れたい」と書いているだけです(出典)。日付は示されていません。
| 項目 | 状況(2026年11月6日時点) |
|---|---|
| 開発の段階 | 開発中(公式 X) |
| テスト版 | 「近いうちに利用者とのテストへ」と CTO が投稿。参加方法は発表なし |
| 正式版の時期 | 発表なし |
| 対象の OS | 発表なし(Windows・Mac・Linux・iOS・Android の別は不明) |
| 今のアプリ | これまでどおり使える。利用者がやることは今のところ無し |
今の時点で、利用者が設定を変えたり、何かを申し込んだりする必要はありません。テストの募集については、公式ブログや公式 X の案内を待つのが確実です。
「全面再構築」という見出しとの違い
X のトレンドには「Discord が Rust でデスクトップ・モバイル版を全面再構築へ」という見出しが出ていました。公式の言い方と比べると、次の違いがあります。
- 公式 X:「Rust で作り直した、開発中の新しいバージョン」。範囲や時期の説明は無い
- CTO の投稿:アプリ全体を Rust にするのが目標で、Electron と React Native をやめる。モバイルは画面はネイティブのまま
- トレンドの見出し:「全面再構築へ」と、決まった計画のように読める
つまり、「アプリ全体を Rust に」という方向は CTO が語っていますが、それが正式に決まった計画として発表されたわけではありません。また、モバイルは画面まで作り直すのではなく、中身のコードを共有する形です。
そもそもDiscordはRustをどう使ってきた?
Rust の採用は、今回が初めてではありません。Discord の公式ブログ「Why Discord is switching from Go to Rust」では、既読の状態を管理する「Read States」というサービスを Go から Rust に作り直した経緯が紹介されています(出典)。
同じ記事では、クライアント側では画面共有(Go Live)の動画エンコードの処理に、サーバー側では Elixir と組み合わせる部分に Rust を使っていると書かれています。サーバーや一部の処理で使ってきた Rust を、アプリ全体に広げる——今回の話は、その延長線上にあります。
Discord の最近の大きな変更としては、公開サーバーの会話がウェブ検索に出るようになる話もあります。利用者の設定が必要な話なので、あわせて確認しておくと安心です。

開発者・利用者の反応
開発者の間では、使う仕組みが GPUI だったことに反応が集まっています。GPUI のコアメンテナーで Zed の Mikayla さん(@radgendervibes)は、Vishnevskiy さんへの返信で、フレームワークの改善や Discord 側の手直しの取り込みについて話したいと連絡を呼びかけています(出典)。
公式の投稿への返信には、Linux 版で今度は失敗しないでほしいという利用者の声もありました(出典)。新しいアプリが Linux でどう提供されるかは、まだ発表されていません。
IT Picks的な所感
CTO の投稿どおりなら、Discord のデスクトップアプリは Electron、つまり Web の技術の上で動いてきたことになります。ゲームをしながら裏で起動しておくアプリなので、メモリや起動の重さが減るなら、利用者にとっての意味は大きいと思います。
一方で、今回の公式の発表は動画と一文だけです。数字も時期も出ていない段階で「全面再構築が決まった」と受け取るのは早いと考えています。大きなアプリの作り直しは、機能の抜けや OS ごとの不具合が出やすいので、テスト版でどこまで今の機能がそろうかを見守りたいところです。
正式な発表やテストの募集が出たら、その内容をあらためて整理します。
まとめ
Discord の Rust 版アプリのポイントをまとめます。
- 公式の発表:公式 X で「Rust で作り直した、開発中の新しいバージョン」と比較動画(日本時間2026年11月6日)
- 詳しい説明:CTO の Stanislav Vishnevskiy さんの X の投稿(公式ブログの発表は無し)
- デスクトップ:Electron をやめる(CTO)
- モバイル:React Native をやめ、画面はネイティブのままコードを Rust で共有(CTO)
- 使う仕組み:GPUI(Zed の開発元の Rust 向け UI フレームワーク)
- 数字:メモリ・起動時間の数値は未発表
- 提供時期:未定。「近いうちに利用者とのテストへ」(CTO)
- 利用者がやること:今のところ無し
テスト版の募集が始まるまでは、今のアプリのまま使い続けて問題ありません。
