Sakuttoとは?端末内で動くAI翻訳のChrome拡張【2026年11月】
「Web ページを翻訳したいけれど、本文を外部の翻訳サーバーに送るのは気になる」——そんな人に向けた Chrome 拡張機能が、はてなブックマークで話題になっています。
個人開発者 jammaru さんが公開した 「Sakutto – Local AI translation」(日本語名「Sakutto – ローカルAI翻訳」)は、Preferred Networks(PFN)が2026年11月5日に重みを公開した翻訳 AI 「PLaMo 3 Translate」 を、パソコンの中(ローカル)で動かしてページを翻訳する無料の拡張機能です。バージョン 1.0.0 は2026年11月6日に出ています。

PFN の公式ではなく、同社とは無関係の非公式の拡張機能です。公開されたばかりの国産翻訳 AI を、ブラウザの中で手軽に使える形にした一例——という位置づけです。
この記事はこんな人向けです
- ページの本文を外部の翻訳サーバーに送らずに翻訳したい
- はてなブックマークで話題の「Sakutto」が何をするものか、公式の情報で確かめたい
- PFN が公開した翻訳 AI「PLaMo 3 Translate」の使い道が気になる
Sakuttoとは?一言でまとめると
ページの本文を外に出さず、端末の中の AI で翻訳する Chrome 拡張機能です。Chrome ウェブストアの説明は「ローカルLLMが、この端末の中でページを翻訳します。アカウント不要の無料拡張機能です。」となっています。
| 項目 | 公式の情報 |
|---|---|
| 名前 | Sakutto – Local AI translation(日本語名:Sakutto – ローカルAI翻訳) |
| 開発 | jammaru(個人。Preferred Networks とは無関係の非公式) |
| 料金 | 無料(広告・有料機能なし) |
| 翻訳 AI | PFN の PLaMo 3 Translate(標準 0.8B/高精度 2B) |
| 動く場所 | 端末の中(本文を翻訳サーバーに送らない) |
| アカウント | 不要 |
| ソースコード | GitHub で公開(MIT ライセンス) |
| 最新版 | 1.0.1(2026年11月8日更新) |

話題の理由:PFNの翻訳AI「PLaMo 3 Translate」の公開
背景にあるのは、PFN が2026年11月5日に公開した翻訳特化の AI モデル PLaMo 3 Translate です。PFN の公式ブログによると、0.8B・2B・8B・31B の4サイズの重み(モデル本体)を Hugging Face で公開し、53言語に対応しています。
PFN は、最も小さい 0.8B のモデルでも、日英・日本語と多言語の翻訳で30倍以上大きな既存の翻訳特化 AI を上回ったと自社の評価で説明しています。比較の相手には Google DeepMind の TranslateGemma や Tencent の Hy-MT2 が含まれます。
小さいモデルなら、手元のパソコンやスマホでも動かせるのがポイントです。PFN はスマホを機内モードにして翻訳する社内のデモも紹介していますが、そのアプリは公開していないと明記しています。Sakutto は、この 0.8B モデルを第三者がブラウザで使えるようにしたものです。

できること:ページ全体・選択範囲・入力した文章を翻訳
ストアの説明と公式リポジトリの README から、主な機能をまとめます。
① ページ全体をワンクリックで翻訳
ツールバーのボタンや右クリックメニュー、ショートカットキーでページ全体を翻訳できます。表示は、原文を訳文に置き換える「置換表示」と、原文と訳文を並べて読む「対訳表示」の2通りです。
② 選択したテキストだけを翻訳
ページの一部を選んで、その部分だけを訳すこともできます。
③ 入力・貼り付けた文章を翻訳
専用のページに文章を貼り付けて訳す機能もあります。1.0.1 では、一度に訳せる量が2万文字から10万文字に増えました。ここでは Chrome 内蔵の翻訳は使わず、PLaMo だけで訳します。
④ 用語集とサイトごとの自動翻訳
固有名詞などの訳し方を決める用語集を作れます。1.0.1 で、1つのリストに登録できる語が1,000語から5,000語に増えました。よく見るサイトは自動で翻訳する設定もできます。
| 操作 | Windows / Linux | Mac |
|---|---|---|
| ページを翻訳・原文に戻す | Alt+A | Option+A |
| 置換表示と対訳表示の切り替え | Alt+B | Option+B |
| 選択範囲を翻訳 | Alt+S | Option+S |
| 入力したテキストを翻訳(専用ページ) | Ctrl+Enter | ⌘+Enter |
※ キーは chrome://extensions/shortcuts で変えられます(公式 README より)。
仕組み:翻訳はどこで動く?データは外に出る?
一番のポイントは、翻訳が端末の中で完結することです。プライバシーポリシーの説明を図にまとめました。

① 拡張機能が自分で行う通信はモデルの取得だけ
モデルは拡張機能に同梱されていません。最初に必要になったとき、Hugging Face の PFN 公式リポジトリから取得して端末に保存します。その後は、PLaMo での翻訳に通信は要りません。
取得のときに Hugging Face 側に伝わるのは、IP アドレスとモデルのファイルが要求されたことだけで、ページの本文や訳文は伝わらない——とポリシーは説明しています。
② 開発者は本文も訳文も受け取らない
ポリシーによると、開発者は翻訳したページ・選択範囲・用語集・訳文を受け取りません。アカウントは作らず、広告・分析・テレメトリ(利用状況の送信)もありません。Chrome ウェブストアの「プライバシー」欄でも、デベロッパーはデータを収集・使用しないことを表明しています。
③ PLaMo が苦手な言語は Chrome 内蔵の翻訳
PLaMo 3 Translate が対応していない言語の組み合わせでは、Chrome 内蔵の翻訳を使います。これも端末の中で動き、言語パックは Chrome 自身が取得します。ページの言語が分からないときは、Chrome 内蔵の言語判定がページの文字の一部を見ることがある、とも書かれています。
④ GPU があれば速く、なければ CPU で動く
画面の表示によると、WebGPU(ブラウザから GPU を使う仕組み)が使えれば GPU で、使えなければ CPU で動きます。1.0.1 では GPU でのページ翻訳が速くなりました。ただし開発者は、翻訳速度の数値をストアの説明では約束していません。
対応言語とモデルの容量
PLaMo 3 Translate は 53言語を双方向に翻訳でき、訳先の既定はブラウザの表示言語です(53言語に無い場合は英語)。
| 項目 | 公式の情報 |
|---|---|
| PLaMo で訳せる言語 | 53言語(日本語・英語・中国語・韓国語など) |
| Chrome 内蔵の翻訳だけで訳す言語 | 11言語(チェコ語・デンマーク語・ギリシャ語・フィンランド語・カンナダ語・ノルウェー語・ポルトガル語・ルーマニア語・スウェーデン語・トルコ語・ウクライナ語) |
| 標準モデル(0.8B) | 573 MB |
| 高精度モデル(2B) | 約1.81 GB(選んだときだけ取得) |
| 拡張機能本体 | 6.96MiB(ストアの表示) |
| Chrome の最低バージョン | 116(公式リポジトリの設定) |
画面には「標準モデル(573 MB)をこの端末へダウンロードします」と出て、中断しても続きから再開できます。高精度の 2B モデルについては「速度は端末によって異なります」と案内しています。
※ 必要なメモリや推奨の GPU は、2026年11月8日時点の公式の情報には書かれていません。
料金・ライセンス:無料だが「PLaMo Community License」に注意
拡張機能は無料で、コードは MIT ライセンスのオープンソースです。ただし、翻訳に使うモデルには PFN の PLaMo Community License が適用され、MIT はモデルには及びません。
| 使い方 | PLaMo Community License の条件(公式 README・PFN ブログより) |
|---|---|
| 個人・学術での利用 | 登録不要 |
| 商用利用(直近事業年度の収入・売上が10億円以下) | PFN のフォームで事前登録すれば無償 |
| 商用利用(10億円超) | PFN と別途ライセンス契約が必要 |
初めて使うときは「ライセンスに同意して開始」というボタンで同意する形です。その画面には、18歳以上であるか、保護者の同意が必要(ライセンス第2条)と表示され、拡張機能は年齢や保護者の確認はしない、と説明されています。
会社の仕事で使う場合は、ライセンス本文の「商業目的」の範囲を確かめてから使うと安心です。
権限:全サイトへのアクセスは最初は求めない
拡張機能の権限は、データの扱いを判断する手がかりになります。README によると、インストール時に全サイトへのアクセス権は求めません。
- 翻訳はボタンやショートカットを押したときに、今開いているタブだけを読む(activeTab)
- サイトのアクセス権は、そのサイトの自動翻訳をオンにしたときだけ求める
- モデルと翻訳キャッシュを保存するため、保存容量の制限をなくす権限(unlimitedStorage)を使う
また、ポリシーでは入力中のフォームの文字は訳さないようにしている一方、ページに表示されている文字は個人情報を含んでいても訳す(処理は端末の中)と説明しています。
利用者の声
はてなブックマークでは、2026年11月8日18時ごろの時点で 80 users が付いています。コメントからいくつか紹介します。
- モデルは後から取得:Falky さんは「7MBでローカル翻訳…?と思ったらさすがにモデルはあとから追加DLだった」とコメントしています(はてなブックマーク)
- 速さ:san57 さんは「かなり遅い。原文と並列表示してくれるので英語の勉強には良いかも」と書いています(はてなブックマーク)
- 安心感:nguyen-oi さんは「ローカルLLMでブラウザ翻訳完結するのはセキュリティ的にも助かる」とコメントしています(はてなブックマーク)
- ほかの選択肢:nakayossi さんは「Firefoxなら標準でローカル翻訳機能ついてる」と指摘しています(はてなブックマーク)
拡張機能の画面でも、高精度モデルの速度は端末によって異なると案内されています。
IT Picksで確認したこと
2026年11月8日時点の Chrome ウェブストアの掲載ページと、開発者のプライバシーポリシーを確認しました。
掲載ページでは、名前は「Sakutto – ローカルAI翻訳」、カテゴリは「ツール」、利用者数は「5 ユーザー」と表示されていました。公開から間もない段階です。

ページ下の「詳細」は、バージョン 1.0.1、更新 2026年11月8日、提供元 jammaru、サイズ 6.96MiB、言語は 2言語(英語・日本語)でした。評価は「評価なし」です。

プライバシーポリシーは英語と日本語の両方があり、最終更新は 2026-11-08。冒頭の要点に「翻訳は端末の中で行います」「拡張機能が取得するファイルは、Hugging Face から取る PLaMo のモデルだけです」と書かれていました。

IT Picks的な所感
Sakutto の面白さは、PFN が重みを公開した翌日には、誰でも使える形で公開したスピードにあると思います。オープンウェイトの小さなモデルが「研究の成果」から「ブラウザの道具」になるまでの距離が、ここまで縮んでいることを示す例です。
特に、社外秘の資料や個人情報を含むページなど、本文を外部の翻訳サービスに送りたくない場面では、端末の中で完結する作りは分かりやすい利点です。データの扱いを平易に書いたポリシーと、ソースコードの公開で裏付けようとしている点も評価できます。
一方で、公開から数日の個人開発の拡張機能で、PFN の公式でもありません。速さは端末次第で、モデルの取得に573 MB の容量と通信が必要です。仕事で使う場合はPLaMo Community License の商用利用の条件も確かめておきたいところです。会議の翻訳なら Google Meet の音声翻訳 のような公式の機能もあるので、用途に合わせて選ぶのがよさそうです。

Chrome そのものを最新に保つことも大切です。安全なバージョンの確かめ方は Chrome の脆弱性修正の記事で紹介しています。

まとめ
Chrome 拡張機能「Sakutto – Local AI translation」のポイントをまとめます。
- 名前:Sakutto – Local AI translation(日本語名:Sakutto – ローカルAI翻訳)
- 公開:2026年11月6日(1.0.0)、最新は1.0.1(11月8日)
- 開発:jammaru(個人。PFN とは無関係の非公式)
- 翻訳 AI:PFN の PLaMo 3 Translate(標準 0.8B・573 MB/高精度 2B・約1.81 GB)
- 動く場所:端末の中。本文は開発者にも翻訳サーバーにも送らない
- 対応言語:PLaMo で53言語、ほか11言語は Chrome 内蔵の翻訳
- 料金:無料(広告・有料機能なし)。モデルは PLaMo Community License(商用は条件あり)
入れる前に、Chrome ウェブストアの説明とプライバシーポリシーを読み、573 MB のモデルを置いてよい端末かを確かめておくと安心です。
