MySQL 8.0は10月の修正対象外に:確認と8.4への移行【2026年版】

MySQL 8.0は10月の修正対象外に:確認と8.4への移行【2026年版】
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「WordPress を動かしている VPS の MySQL、たしか 8.0 だったはず」——そんな方は、10月20日の Oracle の発表を一度確認しておきましょう。

2026年10月20日、Oracle は定例のセキュリティ修正「Critical Patch Update(2026年10月)」を公開しました。MySQL 向けの修正は98件で、そのうち29件は認証なしでネットワーク経由で悪用されうるものです。ところが、MySQL Server で修正の対象として挙がっているのは 8.4・9.7・26.7 の系列だけで、8.0 は一覧にありません。MySQL 8.0 は、2026年4月21日にサポートの段階が切り替わっているためです。

MySQL :: MySQL Product Support EOL Announcements

この記事では、Oracle・MySQL・Ubuntu の公式情報をもとに、自分のサーバーが対象かどうかの確認方法、Ubuntu の標準パッケージの状況、8.4 へ上げる方法と注意点を整理します。「動いているから大丈夫」から「いつ・どう上げるか」へ切り替えるきっかけ、という位置づけの記事です。

この記事はこんな人向けです

  • VPS や自前のサーバーで MySQL(WordPress などのデータベース)を動かしている
  • Ubuntu 22.04 / 24.04 の標準パッケージで MySQL を入れた
  • MySQL 8.0 のままでよいのか、8.4 へどう上げればよいか知りたい

MySQL 8.0のサポート終了とは?一言でまとめると

MySQL 8.0 のサポート終了とは、Oracle が 8.0 向けの新しい修正版を出さなくなったことです。

MySQL 公式の EOL 告知によると、2026年4月21日から MySQL 8.0 は「Oracle Sustaining Support」に移りました。あわせて、MySQL 8.4 LTS か 9.7 LTS への更新が勧められています。8.0 の最後のリリースは、同じ日に出た 8.0.46 です。

項目 内容
8.0 の最後のリリース 8.0.46(2026年4月21日)
2026年4月21日以降 Oracle Sustaining Support(新しい修正版は出ない)
公式の推奨 8.4 LTS または 9.7 LTS へ更新
10月の定例修正 MySQL Server 8.0 は対象外

※ MySQL「Product Support EOL Announcements」・MySQL 8.0 リリースノート(2026年10月27日確認)

サポートが終わっても、MySQL がすぐに止まるわけではありません。ただし、Oracle の定例修正の文書は、サポート対象外のバージョンは検証されていないものの、影響を受ける可能性が高いと書いています。外部から接続できるサーバーや、顧客情報を扱うサイトでは、放置するほどリスクが積み上がる状態です。

MySQL公式のEOL告知ページ
出典: MySQL「Product Support EOL Announcements」

10月のCritical Patch Updateで何が修正された?

Oracle の Critical Patch Update(CPU)は、Oracle 製品のセキュリティ修正を年4回まとめて出す定例の更新です。2026年10月の回は、Oracle 製品全体で 1,295件の修正を含みます。

MySQL 部分の要点は次のとおりです。

項目 内容
公開日 2026年10月20日
MySQL 向けの修正 98件
認証なしで悪用されうるもの 29件
最も深刻なもの CVSS 9.8(同梱の curl・OpenSSL に由来する2件)
影響を受ける MySQL Server 8.4.0〜8.4.12、9.7.0〜9.7.3、26.7.0〜26.7.1
同じ日に出た新しい版 8.4.13、9.7.4、26.10.0
次回の定例(CPU) 2027年1月19日

※ Oracle「Critical Patch Update Advisory – October 2026」、MySQL 各リリースノート(2026年10月27日確認)

8.4 系や 9.7 系を使っている場合は、8.4.13・9.7.4 へ上げれば今回の修正が入ります。同じ系列の中の更新なので、パッケージを入れ替えて再起動するだけで済みます。

一方、8.0 には同じ修正が Oracle からは出ません。CPU の文書は、パッチはサポート期間中のバージョンにだけ提供されると明記しています。

なお、Oracle は四半期ごとの CPU の間にも、毎月第3火曜日にセキュリティ修正(CSPU)を出しています。次は11月17日と12月15日の予定です。

自分のサーバーは対象?バージョンの確認方法

まずは、動いているデータベースのバージョンを確認しましょう。

① SQL でサーバーのバージョンを見る

データベースに接続できるなら、次の SQL が確実です。

SELECT VERSION();

8.0. で始まれば、今回の話の対象です。mysql --version はクライアント(mysql コマンド)のバージョンを表示するため、サーバー本体と違う場合があります。

② Ubuntu・Debian ならパッケージを見る

OS のパッケージで入れた場合は、パッケージ名でも分かります。

dpkg -l | grep -E 'mysql-server|mariadb-server'

mysql-server-8.0 が入っていれば 8.0 です。

③ MariaDB なら今回の話とは別

SELECT VERSION(); の結果に MariaDB と出る場合は、MySQL とは別のデータベース(MariaDB)です。今回の Oracle の修正やサポート期限の話は当てはまりません。MariaDB には MariaDB 側のサポート期限があります。

WordPress の推奨環境は、MySQL 8.0 以上または MariaDB 10.11 以上です(WordPress.org の要件ページ)。8.4 は推奨環境の範囲内なので、WordPress のために 8.0 に留まる必要はありません。

Ubuntuの標準パッケージならどうなる?

ここが少しややこしいところです。Ubuntu の標準パッケージは、Oracle とは別に Ubuntu が修正を取り込んでいます。

Launchpad(Ubuntu のパッケージ管理サイト)によると、2026年10月27日時点の状況は次のとおりです。

OS 標準の MySQL 最新のパッケージ Ubuntu の標準サポート
Ubuntu 22.04 LTS 8.0 8.0.46-0ubuntu0.22.04.4(2026年8月31日) 2027年5月まで
Ubuntu 24.04 LTS 8.0 8.0.46-0ubuntu0.24.04.4(2026年8月31日) 2029年5月まで
Ubuntu 26.04 LTS 8.4 8.4.11-0ubuntu0.26.04.1(2026年8月31日) 2031年5月まで

※ Launchpad「mysql-8.0」「mysql-8.4」、MySQL「Supported Platforms」(2026年10月27日確認)

変更履歴を見ると、8月31日の 8.0 の更新は「July 2026 security issues」(7月の定例修正の分)を Ubuntu が独自に取り込んだものです。上流の 8.0 は 8.0.46 で止まっていますが、Ubuntu は 8.0.46 にパッチを当てる形で修正を続けてきたことになります。

では、10月の分はどうか。Ubuntu の CVE ページ(2026年10月26日公開)では、10月の修正に含まれる脆弱性の1つ(CVE-2026-101785)について、22.04・24.04 の mysql-8.0 も、26.04 の mysql-8.4 も「Needs evaluation(評価待ち)」になっています。10月27日時点では、まだ Ubuntu の修正版は出ていません。

また、Ubuntu が 8.0 にいつまで修正を取り込むかは、今回調べた範囲の公式情報では確認できませんでした。標準パッケージの 8.0 を使っている場合は、sudo apt update && sudo apt upgrade で Ubuntu の修正を受け取りつつ、8.4 への移行を計画するのが安全です。

Ubuntu のどの版で VPS を作るかは、次の記事でも整理しています。

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移行先は8.4と9.7のどちら?

移行先は、8.0 からなら 8.4 LTSが基本です。理由は公式のアップグレード経路にあります。

MySQL の公式ドキュメントは、LTS の系列は飛ばせないと説明しています。8.0 から 9.7 へ直接は上げられず、8.0 → 8.4 → 9.7 の順になります。まず 8.4 へ上げるのが、どのみち最初の一歩です。

系列 位置づけ 8.0 からの移行
8.4 LTS 長期サポート版(Premier 5年+Extended 3年) 直接上げられる
9.7 LTS 長期サポート版(新しい方) 8.4 を経由する
26.x(Innovation) 新機能が先に入る系列(サポートは次の Innovation が出るまで) 8.4 を経由する

※ MySQL リファレンスマニュアル「MySQL Releases: Innovation and LTS」「Upgrade Paths」(2026年10月27日確認)

LTS は機能が固定され、同じ系列の中では動作が変わらないことが特徴です。個人や小規模のサイトで、データベースの更新に手間をかけたくないなら、LTS の 8.4 を選び、同じ系列の更新(8.4.13 など)を当て続けるのが扱いやすいでしょう。

対応 OS も確認しておきます。MySQL 公式の対応表では、Ubuntu 22.04・24.04・26.04 はいずれも 8.4 LTS と 9.7 LTS に対応しています(Innovation は 22.04 が対象外)。

MySQL 8.0 を使っている Ubuntu サーバーの3つの選択肢
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8.4へ上げる前にやること

メジャーな系列をまたぐ更新は、同じ系列の中の更新より準備が必要です。公式のベストプラクティスから、個人のサーバーでも押さえたいものを抜き出します。

① バックアップを取る

何よりも先に、全データベースのバックアップを取ります。

sudo mysqldump --all-databases --single-transaction --routines --events > ~/backup-mysql80.sql

VPS のスナップショット(イメージ保存)機能があれば、サーバーごと保存しておくとさらに安心です。

② アップグレードチェッカーで問題を洗い出す

MySQL Shell の アップグレードチェッカー(util.checkForServerUpgrade())は、8.4 へ上げる前に直すべき点を一覧にしてくれます。公式ドキュメントは、問題が報告されなくなるまで直してから上げるよう勧めています。

mysqlsh -- util checkForServerUpgrade root@localhost:3306 --target-version=8.4.13 --config-path=/etc/mysql/my.cnf

--target-version を省略すると、使っている MySQL Shell と同じ番号のリリースが確認の対象になります。

③ mysqlcheck で古い形式のテーブルを確認する

公式の「アップグレード前の確認」では、次のコマンドも紹介されています。

mysqlcheck -u root -p --all-databases --check-upgrade

エラーが出た場合は、上げる前に直します。8.4 では予約語が増えていることがあり、テーブル名や列名に新しい予約語を使っていると SQL がエラーになる場合もあります。

④ できればテスト環境で試す

公式は、新しいバージョンでアプリを試し、エラーログを確認することも勧めています。VPS なら、バックアップから別のサーバーを一時的に作って試すと、本番を止めずに確認できます。

Ubuntuで8.0から8.4へ上げる3つの方法

Ubuntu 22.04・24.04 の標準リポジトリには 8.4 がありません。上げる方法は、大きく3つです。

方法 内容 向いているケース
① 標準パッケージのまま修正を待つ Ubuntu の 8.0 の修正を apt upgrade で受け取りながら、移行の準備を進める すぐには作業できない
② MySQL 公式の APT リポジトリで 8.4 に置き換える 今のサーバーのまま 8.4 へ上げる OS はそのまま使い続けたい
③ Ubuntu 26.04 の新しいサーバーへ移す 標準パッケージが 8.4 の OS を新しく用意し、データを移す OS ごと新しくしたい

① 標準パッケージのまま修正を待つ

当面の安全策です。Ubuntu の修正が出たらすぐ当てられるよう、apt upgrade を定期的に実行しておきます。ただし、いつまで修正が続くかは公式に確認できていないため、②か③の準備と並行して進めましょう。

② MySQL 公式の APT リポジトリで 8.4 に置き換える

MySQL 公式の APT リポジトリの手引きによると、Ubuntu 標準の MySQL は、このリポジトリから更新すると置き換わる仕組みです。流れは次のとおりです。

  1. バックアップを取る(前の節の①)
  2. MySQL 公式サイトの APT リポジトリのページから、設定パッケージ(mysql-apt-config_*.deb)をダウンロードして入れる
sudo dpkg -i mysql-apt-config_*.deb
    sudo apt-get update
    sudo apt-get install mysql-server
    

    公式の手引きには、注意点が2つあります。

    • 置き換えた後に、Ubuntu 標準の古い MySQL パッケージを purge(設定ごと削除)しない。新しいサーバーに影響することがある
    • MariaDB や Percona からは、このリポジトリで更新できない

    ③ Ubuntu 26.04 の新しいサーバーへ移す

    Ubuntu 26.04 LTS の標準パッケージは MySQL 8.4 です。OS の標準サポートも2031年5月までと長く、OS とデータベースをまとめて新しくできます。

    新しい VPS に 26.04 で MySQL を入れ、①で取ったバックアップを読み込み、アプリの接続先を切り替える——という流れです。古いサーバーを残したまま作業できるので、問題があっても戻しやすいのが利点です。

    WordPress を VPS で運用している場合は、PHP の更新も同じタイミングで見直しておくと効率的です。

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    8.4で変わる注意点

    ① mysql_native_password が既定で無効になる

    いちばん影響が出やすいのがここです。MySQL 8.4 では、古い認証方式 mysql_native_password がサーバー側で既定で無効になりました。この方式で作ったアカウントは、8.4 へ上げた後に接続できなくなり、エラーになります。8.4 の既定の認証方式は caching_sha2_password です。

    上げる前に、どのアカウントがどの方式かを確認しておきましょう。

    SELECT user, host, plugin FROM mysql.user;
    

    plugin が mysql_native_password のアカウントがあれば要注意です。公式ドキュメントでは、[mysqld] に mysql_native_password=ON を書けば有効にできると説明しています。ただし、この方式は非推奨なので、一時的な回避策と考え、アカウントを caching_sha2_password へ切り替えていくのがよいでしょう。

    ② 既定値がいくつか変わる

    8.4 では、InnoDB などの設定の既定値が変わっています。たとえば次のようなものです。

    設定 8.0 の既定 8.4 の既定
    innodb_io_capacity 200 10000
    innodb_adaptive_hash_index ON OFF
    innodb_log_buffer_size 16MB 64MB
    temptable_max_ram 1GB 物理メモリの3%(1〜4GB)

    ※ MySQL リファレンスマニュアル「Changes in MySQL 8.4」(2026年10月27日確認)

    my.cnf で値を指定していなければ、新しい既定値がそのまま使われます。メモリの少ない VPS では、上げた後にメモリの使い方や速度が変わっていないかを確認しておくと安心です。

    ③ 空間インデックスは作り直す

    地図データなどで空間インデックス(SPATIAL INDEX)を使っている場合、公式は 8.4.4 以降へ上げる前に削除し、上げた後に作り直すことを勧めています。一般的なブログや WordPress のサイトではあまり使われませんが、該当する場合は忘れずに。

    データベースを外部から接続できるようにしている場合は、ポートや接続元の制限も、この機会に見直しておきましょう。VPS の基本的なセキュリティ設定は次の記事で整理しています。

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    同じように、データベースのサポート期限が近いものとして、PostgreSQL 14のサポート終了と移行手順もまとめています。

    よくある質問

    Q. 8.0 のまま使い続けると、すぐに危ない?

    A. すぐに動かなくなるわけではありません。ただし、Oracle からは 8.0 向けの修正が出ないため、今後見つかる脆弱性への対応は、Ubuntu などの配布元が独自に修正を取り込むかどうかに左右されます。外部に公開しているサーバーほど、早めの移行をおすすめします。

    Q. Ubuntu の標準パッケージなら、8.0 のままで大丈夫?

    A. 8月31日には7月分の修正が Ubuntu から出ており、apt upgrade を続けていれば Ubuntu の修正は受け取れます。ただし、10月分は27日時点で「評価待ち」で、いつまで修正が続くかは公式に確認できませんでした。移行の計画は立てておきましょう。

    Q. 8.0 から 9.7 へ一気に上げられる?

    A. 上げられません。公式ドキュメントは LTS の系列を飛ばせないと説明しており、8.0 → 8.4 → 9.7 の順になります。

    Q. 8.4 にしたら WordPress は動かなくなる?

    A. WordPress の推奨環境は MySQL 8.0 以上なので、8.4 も対象です。ただし、WordPress が使うデータベースユーザーが mysql_native_password だと接続エラーになるため、上げる前に SELECT user, host, plugin FROM mysql.user; で確認しておきましょう。

    Q. 8.4 を使っているが、何をすればいい?

    A. 8.4.13 へ上げれば、10月の修正が入ります。同じ系列の中の更新なので、パッケージを更新して再起動するだけです。Ubuntu 26.04 の標準パッケージ(8.4.11)を使っている場合は、Ubuntu の修正版を待って apt upgrade します。

    まとめ

    MySQL 8.0 と10月の定例修正のポイントをまとめます。

    • 10月の定例修正:2026年10月20日公開。MySQL は98件(うち29件は認証なしで悪用されうる)
    • 対象の系列:8.4・9.7・26.7。MySQL Server 8.0 は対象外
    • 8.0 の状態:2026年4月21日から Sustaining Support(最後のリリースは 8.0.46)
    • Ubuntu 22.04・24.04:標準パッケージは 8.0。Ubuntu が7月分の修正を独自に取り込み済み、10月分は評価待ち(10月27日時点)
    • 確認方法:SELECT VERSION();、dpkg -l | grep mysql-server
    • 移行先:8.4 LTS(8.0 から 9.7 へは直接上げられない)
    • 上げ方:MySQL 公式の APT リポジトリで置き換える、または Ubuntu 26.04(標準が 8.4)の新しいサーバーへ移す
    • 注意点:mysql_native_password が既定で無効、既定値の変更、空間インデックスの作り直し

    まずは今日、自分のサーバーで SELECT VERSION(); を実行し、8.0 が動いていないかを確かめるところから始めてみてください。

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